こんにちは、ニャンコです。3年弱インポーター(ワインの輸入会社)で働き、直接ソムリエの方たちから注文を頂いたり、レストランへ行きサービスを受けてきました。
そんな私から見た『ソムリエ』とは何か?をお伝えしていきます。
ソムリエとは?
あなたは『ソムリエ』と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
私は子どもの頃に『ソムリエ』という言葉を知りました。レストランやホテルで『ワイン』を提供してくれるウエイターであり、『ワイン』を飲んだだけで銘柄がわかる、才能のある人しかなれない…そんなイメージでした。
『ソムリエ』とは職業名であり資格名でもあります。
日本で『ソムリエ』の資格を取得することができる一般社団法人日本ソムリエ協会のHPによると下記のとおり。
「ソムリエとは飲食、酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関、酒類製造のいずれかの分類に属し、酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナルを言う。」引用元:一般社団法人日本ソムリエ協会HP
簡単にいうと
ソムリエとはワインに関する仕事をしている、ワインを主とする飲み物、食事のプロフェッショナル。
ワイン関連の知識があればいいというわけではありません。飲み物全般の知識も必要です。ソムリエ試験には日本酒、焼酎、ビールなどなどワイン以外のお酒の問題も出題されるのはそのためですね。
ちなみに日本では『ソムリエ』という資格は民間資格です。フランスやイタリアには国家資格として存在します。また、日本の『ソムリエ』は厚生労働省が職業として認めています。
ソムリエの仕事
ソムリエの職責【5つ】 ・ワインをはじめとする飲料の売上向上 ・ワインをはじめとする飲料の購入および管理 ・ワインリストおよび飲料メニューの作成 ・ワインをはじめとする飲料の販売促進・広報施策の策定およびイベント開催 ・スタッフ教育、育成
以上のことは『日本ソムリエ協会 教本』に記載されていることです。
いかがでしょうか、意外とやることが多いなと思いませんか?
ソムリエの仕事の中で最も難しいのは、お客様との関係といわれています。一瞬の間に何を望んでいるのかを察知し、それに合わせて仕事をする。忘れてはいけないのは全ての決定はお客様がされるということ。それはお客様にとっても影響力が大きいのはソムリエということでもあるということです。
他にワインの管理、サービスのための備品管理も仕事の一つです。
日本のソムリエ業界を代表する石田博さんの本に、『ソムリエの始まり』について書かれている箇所があります。
「どんな仕事でも、どんな人でもルーツは大切です。ルーツを失うと、正しいと思ったはずのものが、誤った方向に進んでしまうからです。
ソムリエのルーツは荷物番。ワインを大切に保管し、適切な在庫運営をしていくことが一番の仕事なのです。」引用元:10種のぶどうでわかるワイン
この本は何度読んでも勉強になり、石田さんの人柄が出ている本でもあります。
私の好きな本の1つです。
ソムリエになるためには
いくらワインが好きで知識が豊富な人でも『ソムリエ』になることはできません。
ワインに関わる仕事についている必要があるからです。
そう、ワインに関する仕事をしていればアルバイトスタッフでも『ソムリエ』になることができます。資格の有無に関わらず、その仕事をしていれば『ソムリエ』を名乗って良いのです。これは、国がソムリエの仕事を定義しているからです。
厚生労働省 職業分類(大分類E サービスの職業、中分類40 接客・給仕の職業、小分類403 飲食物給仕係、細分類403-03 ソムリエ)
『ソムリエ』の資格を取得するには条件があります。
必要な条件
• 第一次試験日において年齢20 歳以上の方を対象
• 以下の職務を通算3 年以上経験し、第一次試験日においても従事している方
◆アルコール飲料を提供する飲食サービス
◆ワイン・酒類飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関講師、酒類製造
◆アルコール飲料を取り扱うコンサルタント業務
※雇用体系により従事時間数の規約あり
このように、通算3年以上経験していないといけないのです。
ソムリエの職種に就いていて、受験に必要な経験年数に満たない方は『ワインエキスパート』の資格を取得することはできます。こちらの資格は一般のワイン愛好家の方も受験することができる資格です。内容もほぼソムリエ試験と同じ内容ですが、三次試験であるサービス実技試験はありません。これはソムリエ試験のみ。
もしこれから『ソムリエ』を目指すのであれば、まず『ソムリエ』のいるレストラン、ホテルで働きながら勉強するのが良いです。『ソムリエ』の方はみなさん師匠がいることが多いです。『師匠』探しから入ってもいいかもしれませんね。
わたしの知っているソムリエの話
わたしが知っているソムリエの方々は努力家が多く、物腰が柔い方が多い印象です。インポーターで働いていた頃の話です。注文を電話で頂く時、「申し訳ありません、〇〇は現在欠品しており入荷時期は未定です。」という回答をする時も冗談を言いながら切ってくださる方が多かったような気がします。
ソムリエの方からするとインポーターは仕入れ先。何度も欲しいワインがないことが続き、こちらが申し訳ないことを伝えるといつも「大丈夫です、大丈夫、〇〇のワインはありますか?」と言ってまるで何事もなかったかのように次の話に進みます。
それって普通じゃない?と思う方、いえいえそんなことありません。飲食店のスタッフさんでも色んな方がいらっしゃいます。「時間がないから代替え案出せないなら他の人に変わってよ」「あなたじゃ話にならないからもっと上の人いないの?」「いつも売り切れじゃない、もういいです」とか色んなこと言われました。
私の力不足なのもあります。しかし、一部のソムリエさんは入社したばかりでワイン名、生産者名の区別がつかない時にも、「大丈夫です、ゆっくり言いますね」とか「確認するので今言ったワインを復唱してもらえますでしょうか…それは違います、こちらの〇〇ですよ」とか優しく、そして対等に話してくれます。「今日は暑いですね、こういう日はお昼からシャンパン飲みたいですよね」と会話してくれる人もいらっしゃいました。
偏見かもしれませんが、素晴らしいレストランやホテルに勤めているソムリエの方が多い印象でした。(レストラン名をあげるのは控えますね)そんな方たちのレストランへプライベートで食事をしたことがあります。
サービスが本当に素晴らしい。
適切な温度でワインをサービス、提供のタイミング、雰囲気の出し方、話し方、私たちとの会話。これは憧れる職業と言われるのはわかります。
会話もワインの話はもちろんのこと、食材のこと、最近のニュース、体験談など色々と話せる方が多いです。
プライベートな質問を聞いたことがあります。
「家にいる時は基本静かに過ごしています。次のコンクールに向けてひたすら勉強です。華やかなことは有りません。時間があれば調べていますね。大変だけど、〇〇さんが憧れなんです。だから辛くはないですよ。ちなみにお酒も弱いです。笑」
「コンクールに優勝をすると研修として色んな国のワイナリーへ勉強しに行かせてもらえます。それが本当に楽しく、色んなワインや食べ物に出会えて最高だなと思っています。食に対しても貪欲に勉強するようになりました。」
謙虚で努力家そんな方が多く、受け答えも丁寧で柔らかい。
そしてみなさん輝いています。
下の動画はそんなソムリエの方々が出場しているコンクールの様子です。もう努力の塊としか思えません。
もしソムリエの方にサービスを受けたことがないという方は、是非、レストランで本物の一流のサービスを味わってみてください。お値段はそれなりにしますが、一流を知ることでモノの価値、サービスの価値がわかります。
一流の店には一流の人が集まる。
一流の人には一流の人格を持つ人たちが集まる。
一流を知ることは贅沢ではない、自己投資である。
そして、一流の人は自分を一流とは言わない。他人が評価するからです。
何かを追求する人たちはカッコいいです。