こんな疑問にお答えします。
最近はInstagramなどで色鮮やかなオレンジ色のワインを見かけることが多くなりました。
友達とバルへいったある日、この色のワインってありますか?とInstagramから拾ってきた写真を見せ、ソムリエさんに注文している友人がいました。なるほど、Instagramってこうやって使うのね(←思い込み)と勉強させられるニャンコです。
確かにInstagramの写真を見ていると、色鮮やかなオレンジワインが載っています。
今日はそんなオレンジワインとは何か?について解説していきます。
オレンジワインとは何か?
オレンジワインという名前ですが、オレンジから作られていません。「ぶどう」から作られています。
2004年頃に誕生した「造語」ということです。
マーケティング的発想から生まれた言葉。
つくり方も定義も曖昧なものです。
オレンジワインのつくり方とは?
一般に言われているつくり方は白ブドウを赤ワイン仕立てにつくったワイン。
一般的な白ワインはぶどうをプレスして果汁のみ発酵する。
オレンジワインは皮や種とともに発酵することで、その成分が抽出され、オレンジがかった色調のワインが誕生する。
定義は「白ぶどうの果皮マセレーションをして醸造したワイン」になるのではないだろうか。
果皮マセレーションとはスキンコンタクトとは違う。果皮マセレーションとはアルコール発酵中のこと。
スキンコンタクトはアルコール発酵前に破砕したブドウを一定の時間低温で置いておくこと。そして果皮から香料成分を果汁に移すことが主な目的。タンニンやフェノール類はアルコールが生成されないと抽出できない。
=よってオレンジワインに赤ワインと同様のタンニン(渋み)を感じることが多い。
生産者によってはスキンコンタクトのみでオレンジワインと呼ぶ生産者もいる。それってオレンジワインと呼べないのでは?と思うが、こういうときは生産者の意志を尊重すべきかと思う。
というのは先ほど明記した通り、オレンジワインは造語であり、定義も曖昧なものだからだ。
オレンジワインはどこから広まったか?
いち早くこの手法を確立したのは「ジョージア」とイタリアの「フリウリ地方」である。
イタリアの醸造家がジョージアの醸造方法(クヴェヴリを使用した醸造方法)からインスピレーションを受けてオレンジワインをつくり始めたと言われている。
イタリアは最先端の流行り物に目がない人が多く(これはイタリア人の友人聞きました)、全土に広まっていった。
ジョージアでは「アンバーワイン」と呼ばれている。生産者によってはオレンジワインと言われたくない人もいる。自分で名乗る人もいれば、言われたくない人もいる。そこも生産者を尊重してあげるべき。
オレンジワインの特徴のまとめ
マセレーション期間
スタイルを決定づける重要な要素。
タンニンやフェノール類など果皮からの抽出成分料が変化し、短期間なら白ワインより、長期になる程赤ワインよりの重厚な味わいになる。
抗酸化物質も増えるため、熟成スピードも遅くなる。
オレンジワイン特有の色調は長期になる程濃くなるが、そこには酸化の影響も関与する。
ブドウ品種
どんな品種でもつくれる。
マセレーションを施すことで本来の品種個性がもつアロマの渋みが強調され、果実味と酸はしなやかになる。
タンニンが供与されるため骨格が備わり、厚みが増す傾向。
香りは紅茶、ウーロン茶、あんずなどのニュアンスを感じやすくなる。
モスカートやゲヴェルツトラミネールなどのアロマティック品種は産地により好みが分かれる。
産地
広く認知されているのはフリウリとジョージア。内陸部ゆえ、肉などの重圧な郷土料理が多くオレンジワインとは無理なく馴染む。石灰岩の基盤を持つ土壌で、醸しによるずっしり感がありながらも停滞せず、抜け間の良いワインを産出。
ジョージアは東部のカヘティと西部のイメレティが最大産地であり、食文化が異なるためワインもアンバーワインのスタイルも違う。
カヘティは牛や豚のグリルのお肉料理やシチューなど重厚な食文化のため、力強いアンバーワインがつくられる傾向。
一方イメレティはハーブや野菜、鶏肉など軽めの料理が有名。よってアンバーワインも軽めでタンニンが柔らかく飲みやすい傾向がある。
醸造方法
土着酵母での自然発酵が多いものの、後発産地では培養酵母を使う生産者も存在する。
注目すべきは熟成期間。数ヶ月でリリースされることもある一方、数年の熟成を得てから瓶詰めする生産者も。
生産者が目指すスタイルにより、クヴェヴリ、樽、タンクなど発酵、熟成容器も多彩。
グラス
口の挟まった丸いバルーン型とチューリップ型と大別する。
全体的にバルーン型のグラスの方が果実の甘みが奥から広がり、ゆったりとした印象。
チューリップ型はグラスの形状どおり香りも味もストレートに伝わるのでスパイシーでタイト。
シュチュエーションにより変えるのが正解。
果実味を引き大した場合はバルーン型。
酸や鉱物感を引き出し涼やかさを強調したいならチューリップ型を選ぶと良い。
広く浅いシャルドネグラスはグラスに負けてしまいゆるい印象になった。
わかったこと
オレンジワイン=自然派ワインと思っていたが、違っていた。そもそもオレンジワインとは生産者が「これはオレンジワイン」といってしまえば「オレンジワイン」になるということ。
定義がないが、それも自由でいい。鮮やかなオレンジワインとおいしい食事を組み合わせて楽しむ。ただそれだけだから。
以前、おでん屋さんでグラスワインに「ラディコン」のワインがあったので頂いてみた。だし汁のしみた大根、卵にオレンジ、いや、あんず色の「ラディコン」がこれまた合う。
染み渡る味どおし、お互いを邪魔しない。旨味と旨味の相乗効果。そして色合いもおでんのだし汁とワインの色が合っている。
ペアリングは色で合わせておけばOKと言われているが、本当にそうだなと改めて感じた。
他にも日本でつくられているオレンジワインでは甲州F.O.S.はおいしかったです。テイスティングコメントを残していないのは残念。ですがまた飲みたいワインの1つです。(これくらいしか経験値がないので、またおいしいオレンジワインに出会えたらご紹介します。)
ネットには甲州は売り切れのようでした。酒屋さんで見かけたら迷わず買った方がいいかもしれません。